家畜は考えた。
実は人間達って油断してる分だけ弱くないか?
そこで試しに家畜は人間に電話を掛けてみた。
「俺俺、実は罠にはまって大変なんだ。助けに来てくれよ」
家畜は人間がいなくなった隙に農場を逃げ出した。
「はっはっは。やっぱり人間なんてちょろいぜ。俺は自由だ!」
だが家畜の前には、家畜を追い返そうとした人間達が並んでいた。
家畜は叫んだ。
「私、健康ランド誘致派の人たちがこっそり接待してるの知ってます。しかも税金で」
すると人間達は互いに争いを始めた。
家畜は悠々とその横を通過した。
家畜の前に、警官隊がいたが負ける気はしなかった。
家畜の大進撃は破竹の大進撃となった。
(遠野秋彦・作 ©2017 TOHNO, Akihiko)